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★みんなで考える!「コアのピアノを選定する会」のレポート★
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場所:グランパティオス公園西の街集会室
日時:2001年9月8日(土)14:00〜16:00
主催:自治連合会コミュニティ・コア研究会
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出席(敬称略)
[千葉市]
千葉市教育委員会生涯学習振興課参事:頼本維樹(よりもと・ゆりき)
                          =文部科学省から出向 
千葉市教育委員会生涯学習振興課:島田課長、大塚主幹、千葉係長 
稲浜公民館館長:鎗田
公民館準備:加美、石井
<設計>
コア設計者:高谷時彦 (株)設計計画
音響設計:福地さん(永田音響)
[住民側]
・ピアノ選定委員会
・住民約20名(検見川などお近くにお住まいの方含む)

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●これまでの経過(下川)
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・企業庁からコミュニティーコアの構想が出て5年が経った。
・その間1年間、移管問題で企業庁と千葉市の調整が続いた。
・企業庁がコアを作り、千葉市が店子となることになった。
・これが千葉市が管理運営することに変化した。
・千葉市は各地区に作っている公民館講堂の1つとして考えていたことから、
 当初ピアノはアップライト(60万円)程度を考えていた。
・そこに総工費10億円かけて作った建物と、貧弱なピアノの選定という
 ミスマッチが出てきた。
・昨年8月に「コアのホールのコンセプトを考える会」を開催し、多目的ホール
 という中で街の個性が反映した「小さくてもキラリ光るホール」とするには、
 どのような方法があるか検討した。
・97年のコンサートから現在にいたるまで、過去にベイタウンで開催された
 ものは、音楽系が多い。
・先日行われた千葉市長選挙で、当選された鶴岡市長はじめ各候補者は、
 どの方も、ハードとミスマッチしないピアノが望ましいと回答された。
・2回のチャリティコンサートで20万円の収益があった。ピアノ購入の一部に
 して欲しいという願いが込められている。
・チャリティコンサートには、ベイタウン在住のプロの演奏家のほか、3歳から
 80歳まで参加した。生涯学習のモデルになりうる街だ。

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●コアのピアノに求められるもの(ピアノ選定委員会・隅山)
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1)コミュニティコアのホールに設置するピアノはどんな機種がふさわしいか?

・500人規模のホールは、200人程度しか入らない場合が多く、借りにくい。
・コアのホールは、音響重視で、キャパも手頃である。
・小回りが聞く適当なサイズで、注目を浴びそうである。
・ベイタウンの周辺には、音の優れたホールがない。
・昨年12月、幕張総合高校(雨が降ると音がするホール)で合同ピアノ発表会
 開催。ここは、ヤマハのセミコンC-7(体育館などに多い)を使用していた。
・周辺のホテルには、ヤマハのG2、G3を設置。
 自動演奏が目的で、価格は安い。
・コアのホールのピアノは、ピアニストが弾きたくなるものを希望する。
・普通の同規模ホールは、90%以上がスタインウェイ。

2)国産メーカーのラインアップ
・ヤマハA1 100万円、音大生が6畳間で練習するのに使われている。
・C1、C2、C3は、個人用で使われている。
   ・これ以上は、音楽室、体育館用となる。価格は廉価。
・別格は、CFIII-S、1100万円位。大・中ホールコンサート用。

・1500万円クラス(フルコン)=いずれも定価ベース、実際には2−4割引
   ・スタインウェイ(旧西ドイツ)
   ・ベヒシュタイン(旧西ドイツ)
   ・ベーゼンドルファー(旧西ドイツ)
   ・ファッツィオリ(イタリア)
・1000万円クラス
   ・スタインウェイ(セミコン)
   ・ベヒシュタイン(セミコン)
   ・ベーゼンドルファー(セミコン)
   ・ファッツィオリ(セミコン)
   ・ヤマハ(フルコン)
   ・カワイ(フルコン)
・900万円クラス
   ・ブリュートナー(旧東ドイツ)フルコン
・700万円クラス
   ・ブリュートナー(旧東ドイツ)セミコン
       ・ペトロフ(チェコ)フルコン
・600万円クラス
   ・ペトロフ(チェコ)セミコン

3)ホール用コンサートグランドにフルコンが導入されている理由
・フルコンは、各メーカーが最も力を入れている。
・低音が良く出る。低音と高音のバランスが良い。
・ピアニストの中には、いきなり小さいピアノを出されても弾きたくないという
 人もいる。
・練習用にフルコンを置いている人もいる。
・技術者に聞くと、フルコンは別格。レコーディングにはフルコン使用。
・日本は、音楽で重要なのはフルコン。
 ほとんどのホールはフルコンだが、海外では、セミコンもある。
・1000人を越すところはフルコンだが、200人のところはオーバースペック
 かもしれない。
・国産セミコンのC7は、コンサートを目指していない。

4)海外におけるホール規模とピアノ
・500〜1500人  フルコン
・100〜500人   セミコン

5)ピアノの形状
・ヤマハCFIII−S、カワイEXは、フレーム、穴、ケースなど写真で比べても、
 まったく良く似ている。
・スタインウェイとそっくりに作っている。
・歴史あるメーカーは、それぞれ独自の考え方を持っている。
 その例としてブリュートナー、ベーゼンドルファーを取り上げる。
 (フレーム、ケースの形が違う)
・ベーゼンドルファーは、ケースの木を鳴らす。
    ◎海外メーカー製のピアノは、それぞれ個性があるので認められ、
      ホールに入っている。

6)200人規模の近郊ホール
・ほとんどがスタインウェイのフルコンD274。
・一部ベーゼンドルファー、ヤマハCFIII-Sフルコンを使用。
・ヤマハフルコンは、サブの扱いが多い。
・ヤマハフルコンがメインの小ホールでは、別に大ホールがあり、スタインウェイの
 フルコンなどがあることが多い。
・音響重視でない多目的小ホールでも、フルコンが入っている。

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●ベイタウンは音楽の街だ(鈴木)
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・ベイタウンには、音楽を楽しむ人が多い。
・ベイタウンには、音楽愛好家が多く住んでいる。
・ベイタウン祭り2000では、フルートのアンサンブルを屋外で仮設ステージで
 演奏した。
・このとき、30のバンドからの応募があった。
・コアのホールは、多くの人が期待して待ち望んでいる。
・御木マドカさんのチャリティーコンサートにも、250人が来られた。
・ベイタウンの音楽家名鑑を作り、ホームページで紹介している。
・今年のベイタウン祭りのミニコンサートでは、小学2年生も出演し発表した。
・ピアノに限らず、音楽を自分たちで楽しむ。そういう街だ。
・10億円もかけて作るのなら、それにあったピアノを入れて欲しい。

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●私の設計したホール(高谷時彦さん)
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・コアのコンセプトは、人と人とのふれあい。
・ガラスの向こうで顔がちらりと見えるコミュニティーを目指した。
・唯一の例外がホール。ここだけが硬い箱に囲まれた中に入れている。
・中に入ったら天井が高い。
・キャパ200人で音を重視。日頃体験しないような空間ができる。
・専用ホールでないのが、木の質感を使った柔らかい音をどう響かせるか、
 お金が許す範囲でまとめていった。

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●コアの音響はすばらしい(永田音響・福地さん)
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・弱音楽器のため、冷暖房の空調設備から出る音を抑えるなど、音を消す装置を
 工夫した。
・電気楽器も多いので、響きをカーテンで抑えた。
・天井高を高くした。
・1人あたり10立米を確保し、この規模では余裕のある響きとなる。
・音響設備は、お金との勝負。一応の機器を備えている。

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●[結論]
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・このホールは、音響的に綿密に設計されていることはご理解頂けるだろう。
・育ての親が千葉市、生みの親と育ての親が違うことで問題が生じた。
 象徴的なのがピアノである。
・市長が言われたように、ハードとピアノのミスマッチは避けねばならない。
 また課長も話されたように、アップライトでなく、水準を越えるものを入れる。
 これは当然である。
・コアのホールには、昔からある歴史を反映したピアノがふさわしい。
・国産のセミコンは音響的に難点がある。
・コアのホールにふさわしいのは、海外のセミコンかそれ以上を求める。

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●Q&A
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Q:小沢さん(検見川浜、ベイタウン周辺の音楽NPO関係者)
・このホールには、身近なところで素敵な音楽が催されるので期待している。
・ホールでのレコーディングも興味がある。
   ・CDを買うと、どこのホールとか、使っているピアノとか気になる。
   ・素敵なホールには、それに見合うピアノが置いてある。
   ・例外なく海外製のフルグランドピアノだ。
   ・ベイタウンのコアからCDが出るようなホールになって欲しい。
・今はマスメディアの世界だ。世の中の人に知ってもらうには大事な使命だ。
・コアから世の中にアピールするような、それに見合うだけのものを欲しい。
・自宅にあるようなアップライトなんてとんでもない。
・プロが、うまい人が演奏するから聞きに行く。
・夢がないと行かない。ピアノは夢を持たせる。

A:島田課長
・私はピアノに対しては素人。良いものは良いのだという話は解った。
・しかし、音楽専用ホールではない。演劇や会議のことも考えなくてはならない。
・音響を重視したホールなので、アップライトではない。

住民側
・平成14年度予算には、ホール500万円、ホール以外の茶室などに
 600万円の合計1100万円を計上している。
・ピアノは棚上げでずっと来ていた。 ピアノは、コアがオープンしてから
 すぐに平成14年度となるので、14年度の予算に入れたい。
・オープン後ピアノがないが、しばらくはガマンし、必要なときはリースで対応
 したい。
・市長や他の候補も同じように、ハードとソフトがマッチするという方向性。
・このホールは、多目的ではあるが10立米確保した音響重視のホールである。
・千葉市も、アップライトでいかないとするなら、どうすれば良いのか?
 コア=公民館ということでは、対応できない。
・アップライトを外した以上、千葉市の方はご理解頂いて、ピアノの予算改定を
 行ってもらいたい。
・今年度は500万円がホールの予算。椅子や机などに使われる。
 椅子は1脚2万円のスタッキングチェア。2万×200席で400万円。
 もし来年度予算で、200万位のグランドピアノで良いとなると、椅子が良いのに
 低価格のピアノとマッチしなくなる。もうひとつのミスマッチだ。
・500万〜1千万を切るセミコンタイプが、価格的にも適当ではと考えている。
・ベイタウンでは、企業庁がほとんど公共的建物を建てており、5年経っても
 地方税が還元されたのは小学校と中学校だけで、千葉市は何も何も自前で
 建設していない。
・生涯学習は小泉政権のトレンドでもある。ピアノは、千葉市の行政姿勢として
 象徴的存在。
・課長さんの話からは、依然として旧来型と感じる。完全に払拭して欲しい。
・音楽専用ホールはフルコンを入れている。日本はフルコン志向。
 しかし、コアホール=200人規模ではセミコンもありうるというのが、
 私達の考えだ。

・ピアノを倉庫に閉まってあまり使えないなんてことにはならない。
 幼稚園の発表にも使う。近隣の音楽団体から相互乗り入れも考えられ、
 美浜区では需要が多い。

A:頼本参事
・音楽専用ホールではなく多目的ホール。演劇とかも少しあるだろう。
・音楽専用ホールとは若干違う。

住民側
・多目的でありながら、音楽専用ホールにひけを取らない。これがコアのホールの
 個性だ。ただの多目的ホールでは、どっちつかずが多い。
・設計者も一生懸命考え、街の特性を考えて、機能的には限りなく音楽専用にも
 負けないものを作った。
・建物のハード面では希望が実現し、音響だけでなく、普通の会議もスムーズに
 できるように極めて精緻な形で作っている。

住民(フロアーから)
・ベイタウンでは演劇はあまり出てこない。
・ピアノの発表会でも、良いものを使いたい。

ピアノ演奏家(同)
・演奏家としては、国産より外国製の方が良いのは、経験で感じている。

元自治会連合会長(同)
・入居した時郵便受けに最初に入っていたのがピアノの生徒募集チラシ。
 音楽の希望に合った設備をお願いしたい。
・個人の録音活動や個人レッスンなど自由に使えるよう公開して頂きたい。

住民(フロアーから)
・今日の話を聞くと、市役所側もちょっとトーンが変わってきた。
・全国にアピールできるホールになるかもしれない。

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●まとめ
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◎マイナス発想でなく、プラス発想で、どうやったら最大限に知恵を発揮できるか
考えて欲しい。
鶴岡市長の本にもあるように、生涯学習は、行政指導の文化でない。
市民の文化活動をサポートするのが役目である。

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★今後の予定
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●コア誕生!、こんなことしたい!!
「コミュニティコア開館記念イベントを考える会」

日時:9月22日(土曜日)午前10時ー正午
場所:パティオス3番街集会室
主催:コミュニティコア研究会

★ベイタウンの中央部で建設が進んでいるコミュニティコア(愛称募集中)は
来年3月中旬、オープンの予定です。
運営にあたる千葉市は、開館イベント予算として200万円の予算を計上。
「住民の皆さんと一緒に開館イベントを考えたい」(生涯学習振興課)意向です。
「クラシックコンサート」「ポップスコンサート」「講演会」「映画会」
「ギャラリー展示」「その他の催し」ETC。
ベイタウン住民なら誰でも実行委員になれます。
あなたのアイデアをぜひお寄せください。