「コアのホールを考える会」(ピアノ編)の報告 

隅山 雄介(ピアノ選定委員会準備会事務局長)

 コアのホールに求めるピアノ

 今度のコアのホールはかなり予算を割いて、小さいながらも有名演奏家を呼んでコンサートができるレベルの、音響的に優れたホールになろうとしています。

 そのホールに見合うピアノを要望したいということで、コア研の呼びかけで住民の一部有志(5名、うちピアノ弾きは3名で、プロピアニスト1名、アマチュアコーラス1名、趣味のピアノ弾き1名)によりピアノ選定委員会(準備会)が組織され、他のホールや会館のような有名演奏家を招いての演奏会を運営をしていくためには、それらとほぼ同等なピアノ(後述)で、演奏性・音楽性・ブランドで注目を集めうるものにしたい、などと考えてきました(一般の自治体運営ホールの選定委員会は、組まれた予算の中で最適なピアノを選定する組織なのですが、成り立ちが全く異なっていることにご注意下さい)。

 現在のところピアノを含む備品は千葉市が購入することになっています。コアは総工費10億円をかけても、千葉市が管理・運営する”公民館”なので、ホールはあくまで公民館の”講堂”でしかありません。

 公民館の講堂の標準的な備品はウン十万円のアップライトだそうです。千葉市からの正式な見解をもらっていませんが、黙っているとそれになりかねないとか。グランドが入ったとしても小学校の体育館にある程度のもの(例えば、ヤマハのC5:170万円:2m)の可能性が高そうです。

 一方、全国にあまたあるホールでは、音楽専用ホールでなくても、また小規模であっても世界の最高峰といわれるスタインウエイのフルコンサートグランド(定価1550万円)または同程度のピアノがお約束です。同じ器種の中でも差があるため、あそこのスタインウエイはダメだとかいいとかという評判となり、ホールの運営を左右しているのです。

 現在の状況では、コアには体育館のグランドピアノです。もちろん、有名演奏家を呼ぶなんて不可能で、子供の発表会と街のピアニストによるプチ演奏会ぐらいが限界です。

 コアに音響的にいいホールができるから、それなりにいいピアノが入る、なんてことは今のままでは全くなさそうなのです。

 一般的な市民会館などの多目的ホールでは、当然のようにコンサート用のグランドピアノが入っています。県内の主なホールには、次のようなピアノが入っています。

(報告資料 県内ホールのピアノ 参照)

 主にはスタインウエイのフルコンサートグランド(フルコン)と呼ばれる、奥行き2.8mほどの最高グレードの機種が入っています。

 一般に日本のホールでは、演奏性、音質など純音楽的見地からも、またステータス的な意味合いからも普通フルコンが選ばれます。日本ではセミコンと呼ばれる2.3mほどの器種はほとんどなく、それ以下の家庭用にもなりうるサイズは有名演奏家によるコンサートには使われません。演奏家も音の密度やバランス、慣れなどからフルコン以外を敬遠する傾向にあります。フルコンが大変好ましいと考えます。

 しかし、ホールの規模が200人であるため、音量的にはセミコンサートグランド(2.3mほど)かそれ以下でもよいとする意見もあります。ただし、フルコンとは音の密度、バランス等が異なるので、検討の余地があります。なお、国産にはこのクラス(ヤマハS6,C7、カワイRX−A,RX−7など)で質のよいものがなく、検討しにくいと考えています。

 セミコンの場合は、先に挙げたトップメーカーで1000万円前後。最も安いものでも6〜700万円程度です。

 しかし、本ホールのピアノは固定施設ではなく備品との扱いで、千葉市の購入とのこと。しかし、千葉市にとってはコア施設は公民館でしかなく、ホールはあくまで講堂でしかありません。講堂備品としての標準的なピアノは70万円のアップライトです。

 アップライトは論外としても、よくなったとしてもせいぜい国産中型グランドとの話もでてきましたが、たとえばヤマハの中型グランドC5は170万円で小学校の体育館にあるようなグランドです。

 とあるホールのピアノを管理をされている方によると、予算不足の方が練習用のヤマハC5で演奏会をしたことがあるが、話にならなかった、演奏会用には絶対にやめておいた方がよいとのことでした。プロから見ればその程度のピアノであるわけで、当然有名演奏家によるコンサートは不可能です。

 我々が求めるものは、あくまでホールに見合う、質の高いピアノなのです。

 そのために、市に対してはもちろん、あるいは県や企業などに対してもさらなる助力をお願いしたいと思っています。

 ただ、高い物を買っても宝の持ち腐れになるという危惧もあるでしょう。私たちはただ「お願い」するだけではいけないと思っています。

● 提言 ●

 そこで、今日お集まりいただいた皆様方に提案があります。

 高谷先生から頂いたアイディアですが、住民自身が企画・運営するチャリティコンサートを開いてはどうでしょうか?

 立派に運営でき、チャリティへの協力が得られれば、市や県、企業への有効なデモンストレーションになると思います。また、そのような活動は、今後のホールの運営にも活かしていくことができるでしょう。

 逆に、全く運営できない、協力も集まらないと言うことならば、小学校の体育館のグランドで終わりということにもなりかねません。

 チャリティコンサートを成功させ、ベイタウンのコアに見合うピアノを私たちの力で入れたいと思います。

 皆様のお力を、ぜひお貸し願いたいと思います。

(以上)