保守点検 ーFAZIOLIを世代を超えて引き継ぐために

  • News 2026年3月30日、31日に保守点検を行いました。以下はその際の模様です。

 ピアノには適切な維持管理が欠かせない。コア研では日常的な観察に加えて定期的な保守点検によって適切な維持管理を行っている。

 すべては、よい音を届け、世代を超えてこの楽器を引き継ぐために。

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 保守点検を担当するのは、ファッツィオリ ジャパンの越智晃氏。伊ファッィオリ本社社長パオロ・ファッィオリの信頼が厚く、初めてFAZIOLIがショパンコンクールの公式ピアノになったとき調律を指名されたのが越智氏である。

 保守点検は通常2日をかけて分解整備が行われる。ひたすら繊細で地味な細部の調整と磨き上げである。

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 越智氏はファッィオリ ジャパン立ち上げ(当時はピアノ フォルティ)以来、コアの個体を見続けている。

インタビュー

1. 「初期個体」としての希少性について

 この個体は創業初期の貴重な一台と伺っています。良好な状態で維持されている「初期モデル」は、技術的にどのような価値があるのでしょうか。

初期の個体でいい状態のものは、あまり残っていません。FAZIOLIの歴史の中で、その時々で最高のものを目指して楽器をつくってきました。ですから、時代によって変化しています。今の楽器は協奏曲の中で音がしっかり出る方向です。

 コアの個体は初期の個体がどのように熟成するかをよく現しています。

2. 「ロングトーン」と熟成の現在地について

 越智さんが以前評価してくださった「すばらしいロングトーン」は、30数年を経て今、どのような熟成段階にあると感じられますか。

 熟成によってもピアノは変化し、30年40年50年と良くなっていきます。80年90年とゆっくり落ちていきます。

 コアの個体には新しい個体では出ない、すばらしいロングトーンがあります。保守点検中にもすばらしい音の伸びを感じていました。この個体はとてもいい状態にあります。

3. パオロ・ファツィオリ氏とのエピソード

かつてパオロ社長をこの場所にお招きされた際、社長はこの個体の音を聴いて、具体的にどのような点を喜ばれていたのでしょうか。開発者ご本人が認めた「この一台だけの魅力」を改めてお聞かせください

 よい状態の初期の個体はあまり残っていませんし、時代によって楽器の作り方は変わっています。その中でこの個体の状態の良さと熟成を喜ぶと同時に「私のやっていたことは間違っていなかった!」と言っていました。

 楽器の作り手達には、時間を経て熟成した個体を、もっと見て欲しいと思っています。

 

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